あじねフライパン発行メールマガジン 第300号


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あじねフライパン発行 第300号

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こんにちは。

あじねフライパンの内田です。



私どもおります厚木市は、本日いい天気です。



ここ数日も暖かく、近所の梅も咲き始めていました。



さあ、この暖かさに乗って、メルマガも早速「レッツゴーーー」です !!!






◇ 目 次  ◇


【1】 楽しいレシピのその前に
  
【2】「鉄フライパンの楽しいレシピ」

【3】フライパンの出来上がりと錆磨き直し日程のお知らせと年末年始のお休み

【4】今回のレシピ詳細と更に美味しくなるポイント


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2年前ですが「国産うなぎが2倍の大きさになって2023年から市場に出てくるかも」って言う内容のメールマガジンを出しました。

今年が、その2023年


さあ、どうなったでしょうか?





「そんなメール忘れちゃった」「読んでないよ」と言う方の為に要約しますと



・鰻の完全養殖は難しい

・稚魚から養殖した鰻は何故か9割以上オスになる

・鰻のオスはある程度大きくなると皮が固くなり蒲焼には厳しい。
 そのためその前段階で出荷せざる得ないので、結果国産蒲焼は小さめになってしまう。

・近年愛知県の水産試験場で養殖鰻をメスにする方法が開発された

・メス化によって倍の大きさにしても皮が固くならないので、今以上の大きな蒲焼が食べられる様になる



ざっとこんな感じでした。






で、今年

”2023年から世界に先駆けて養殖鰻のメス化に成功した大鰻が市場に出てくる!!”って事で、期待していたんですが、そんなニュースが出て来る気配もありません。






でね、、、、、


先日、愛知県に行く機会があったので、その開発に成功した一色うなぎ漁業に寄ってみて聞いたんです。そうしたら!!!


その話は文末に書くとして・・・・・・





鰻にはやっぱりドラマがあったんです。

今回はその話で盛り上がろうと思います。
食卓の話題にいけそうなので、ちょっとの間お付き合いください。






以前のメルマガにも書きましたが、「鰻の養殖は難しい」って、どこかでも聞いた事あると思います。




じゃあ、実際何が難しいのかって聞かれる、意外に「ぽわ~~~ん」ってなってません?


実は私もそうなんです。


それで、自分なりに想像すると「育てるのが難しいんじゃないの?だって生き物だし」って思うくらい。
皆さんはいかがでしょうか?




鰻は、川を登ろうとする稚魚を捕まえて、それを育てる蓄養のパターンです。
現在、国内の鰻は蓄養物が99.5%以上です



それで、そのシラスウナギが、商品として出荷に到るまでの生存率ってどの位だと思いますか??






その生存率・・・・








ほぼ9割以上




へ~~~意外。
思っていた以上に高くないですか?


でもね。

以前は半分程だったそうです。


その半分からここまで上がったのは、養殖施設が変わった事。



以前は生け簀で育てていたものが、今では屋根のあるビニールハウス。
これによってぐーーーっと生存率が上がったそうです




って言うか、、、、、今まで半分程が逃げていたらしいです。




それと、やっぱり、うなぎ稚魚の高騰





うなぎの稚魚は孵化後はプレレプトケファルス→レプトケファルス→シラスウナギと言いますが、その蓄養可能になるシラスウナギが捕れなくなった。


その為1990年代まではシラスウナギ1kgで10~30万で取引されていたのが、1990年後半から1kgがなんと!!!




100万





でも、ご安心ください。

その後は値下がりしました。



しかし胸をなでおろすも、再び上昇し2012年位からは常に100万超

2018年には史上最高値の300万え~~~~ん(資料参考:静岡新聞)



1kgにシラスウナギは約5,000尾ですから、1匹20~60円だったのが1匹600円、、、、、

もう一匹だって無駄には出来ませんし、養鰻業としては死活問題です。





こうなると天然の稚魚を捕って育てる蓄養ではなく、卵から育てる完全養殖が叫ばれます。





そりゃそうですよ







でも!!!!!








ここからが本題なんです。



ニホン鰻の生態って誰も知らなかったそうです。

そんな中、日本では鰻の海洋調査が1930年代から始まって、60年経った1991年、やっと1cmの稚魚を発見するまでになりました。




60年掛けてそれだけ???




って思ってしまいますが、この調査だって結構大変!!!


直径3メートルの網で予想したポイントをすくって稚魚を見つける、それを太平洋で。と言う話です。

身近な例で言うと、琵琶湖に船を浮かべてコーヒースプーンですくって調査する感じ




「一体何処すくったらいいの???」ってほど果てしない。



しかし!!


孵化してから1cm以下で約1ヶ月位までの稚魚が一向に見つかりませんので、養殖研究も何を食べているのかは、全く分からずじまい。

なので稚魚が育ちませんでした。



そして調査から75年後の2005年、ついに1cm以下の孵化したての稚魚を発見します。

これで”孵化から1cmの間に何を食べるか”みたいな事が分かり、卵→成長→産卵のサイクルが出来て完全養殖に大きく前進することになります。




でもね、



ホント凄いと思うのは、実はこの発見の2年前に日本の研究者が、孵化してから1ヶ月位まで稚魚の餌を実験から割り出し、
世界で初めて卵からシラスウナギまでの飼育に成功していたんです。


本来なら実態調査を徹底的に行うことで養殖技術に活かしていく所を、実態を掴む前に研究者の想像力と努力がクリアしてしまった。

これによって実質”完全養殖”が可能になったんです。







で、




ちょっと面白いのがこの本

 ↓ ↓ ↓

「うなぎを増やす」廣瀬慶二著


この本の上部には「日本水産学会監修」とあります。だからでしょうか・・・・・

文調が「である。」の様な文が続いて正直言って・・・・・・です。



もちろん、笑いを求める物ではないので、しかたないとは思いますが、でも突如筆者の言葉が変わるんです




本書82ページ中段




研究も5年間全滅続きの、ある日。

ついに、思い焦がれていた鰻の稚魚が餌に食いつく場面が目の前で起こります。

その状況に、筆者がこう書いています


  ↓↓↓

「これで育つと思ってしまった」




普通なら「これで育つと思った」で十分。でも、そうじゃない。



研究者に「思ってしまった」と言わしめた、その餌の研究過程にどんな事があったんでしょうか。

同じ様な事を何度もやって、上手くいかない結果に来る日も来る日も打ちのめされ続けて来た。

その心境が「育つと思ってしまった」とつい書いた、いや、書かずにいられなかった。





その後の文も、「ぜひ見て頂きたい。ここまで来るには」と続き、「飼育を担当した田中秀樹の執念が・・・・」とあるんです




”執念”って・・・・・、もう筆者の感情全開です。




鰻はマリアナ海溝沖で孵化して→台湾沖→沖縄→本州を流れる海流に浮いて日本近海に来ます。この距離約3,000キロ。
口が付いた5ミリ以下の小さな糸ミミズの様な形から、3cm程の蒲焼の様な形に変化します。

なんで蒲焼の様な形になるのかと言うと、海水の塩分濃度に浮ける形状が、この蒲焼の様な形らしいのです

「なにそれ?ちょっと分からない」と言う方は”レプトケファルス”で検索してみてください。




そして日本近海に来たら親鰻と同じ様な形のニョロニョロってしたシラスウナギに変容します。

こうなると海水に浮く事ができませんから、自分で泳いで川を登り鰻として成長します。




田中秀樹先生の研究は、卵からシラスウナギになるまで「何を食べるか」

この辺のエピソードは「うな丼の未来」という本に書かれていました。




「色々な餌を入れても食べてくれず、くらげを入れてみたら、クラゲが稚魚を食べてしまって・・・(笑)」みたいな事が書いてあったり

完全養殖が可能になったら安定した生産が可能になります。その辺の事情も書いてありました。





ここで話は戻るんですが、文頭で「近年愛知県の水産試験場で養殖鰻をメスにする方法が開発され、皮が固くならない大きな蒲焼が食べられる様になる」
って言いましたが、間違いがあります。


鰻のメス化は、実は30年程前からある技術らしいのです。

だったらもっと早くメスの大きな蒲焼が食べられても良さそうなもんです。


でもね、当時のメス化が産んだ卵は成功率や生存率が低く、研究に活用される分で精一杯だったみたいです。

しかし、その技術によって、本来ならマリアナ海溝で産卵した卵を手に入れに行かなければならないのが実験室で入手でき、
それでシラスウナギまで何を食べていたかを研究できた訳です。





それで話は戻りますが、2023年から倍の大きさの蒲焼が出てくるの件ですが、話では早くて再来年の年末なんだそうです。


孵化からシラスウナギまでが10ヶ月ほど、シラスウナギからは成魚までは今までも1年程掛かっていたそうですから、更に大きくするにはプラス1年位って事でしょうか。


再来年の年末ってことは、ざっと見てあと2年かぁぁぁ・・・




って思いつつも、鰻は確実に研究が進んでいて、それを感じる時代が確実に来る、そんな風に思いました。





所で・・・・


文中にも書きましたが、鰻の養殖業を養鰻業と言いますが、これ、、、、、読めました??







実は「ようまん業」って読むそうです。







「よううなぎ業」って読んでません?


私、読んでました・・・・・(涙涙涙涙)




続いてはレシピでーーーーす





参考資料
「うなぎを増やす」著者:廣瀬慶二
「うな丼の未来」東アジア鰻資源協議会日本支部編


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【2】鉄フライパン屋の楽しいレシピ
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鰻の話の紹介ですから、レシピは鰻で~~~~す。


でもね、





鰻って、うな重を超える料理があるんでしょうか?






って、思うくらい完成してません?



完成度が高いと言えば、これを書きながら思い出したんですが、

確か・・・・ラジオだったと思います。

吉田拓郎さんと松任谷正隆さんの会話で、若かりし吉田さんが作った


「どうしてこんなに悲しいんだろう」


に、初対面の松任谷さんがさらさらって書いた間奏が、50年経った今でも変わらずに弾き続けているって言っていたんです。


「演奏バンドも色々変わったりしたけど、50年経ってもそれを超えるものが出てこない。
如何に松任谷さんが凄い事やったかなんだけど、それは後に気づくんだけどね・・・・(続く)」



確かこんな感じでした。




何十年も変わらないなんて、うな重もそれに似た所があると思いました




が、それを押して作ってみたのが今回です。




「鰻はうな重で食べたい」って、皆さん思うと思います




でも、




ぜひ、作ってみてください。








作ったのがこれ

 ↓ ↓ ↓

「うなカツ」と「うなカツ丼」



写真はこちら!!!

https://ajinefrypan.com/custom121.html






詳しい作り方は下に

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【3】フライパンの出来上がりと錆磨き作業のお知らせ
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□■ただいまのフライパンの出来上がり日数はこちらに。
https://ajinefrypan.com/frypanuplist.html


□■錆磨き直しの作業日程

 只今の磨き直しのお預かり期間は3~4週間ほどです。
 お電話またはメールでご予約ください。

  ※お預かり期間が長くなりご迷惑をかけてしまう場合がございます。
  お日にちに余裕がございましたら、前もってご予約されるといいです。

  電話(通話料無料)0120-218-292 (9:00~18:00)
  メール:ajinefrypan@dream.com




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【4】詳しい作り方とポイント
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【材料】

うなぎの蒲焼人数分

●パン粉

米粉パン 揚げる量ほど(小麦が大丈夫な方はパン粉をお使いください)


●下地 片栗粉:コーンスターチ:水:溶き卵=2:2:2:2
※単位は大さじ

(小麦が大丈夫な方は、溶き卵と小麦粉をお使いください)



●調理時間:30分ほど


~・~・~・~・~・~



下地を付け、パン粉を付けて、180度でさっと揚げるだけです。




うなカツ丼


カツ丼だし
醤油、お酒、砂糖、水(出汁)=2:1:1:2


これをベースにお好みで調整してください。

今回蒲焼自体に味があるので、醤油、お酒、砂糖を少し控えめにすると良いです。




うなカツも驚くけど、うなカツ丼はインパクトあります。


「最近夕飯がワンパターしてきた・・・」と言う方は、この料理を食卓に出してみてください。




効果テキメンです。





が、、魚だけに「うな丼で食べたかった」って尾ひれが付くかも・・・・




お料理だけに



「あと味がよろしいようで」




今更ですが、蒲焼じゃなく鰻の白焼きで作ったらもっと美味しいかも。。。。



【鉄フライパンのテクニック】


酸が強い野菜を調理した時や調理後作った料理をフライパンにそのままにしていたら、
フライパンが白くなった事があると思います。


これは酸によってフライパン表面の油馴染みが溶けたりして起こる現象です。


この時、そのまま使って再度油馴染みを作ってあげると良いんですが、
もし鉄のにおいが気になる場合は、切って捨てる部分の野菜でいいので、

カンタンに野菜炒めをしてから使うと良いです。


アイデアとして「銅のタワシ」を使うと銅イオンで匂いが無くなるって言うのがあります。


これ何度か試していますが、私は野菜炒めの方法と大差ないように感じています。





【今回使ったフライパン】
今回使ったフライパンは28cm板厚は2.3ミリ、深さは6.5cmのタイプです。

この位の大きさになると、鰻を揚げる時も十分な広さがあるし、厚みと揚げ加減もいいです。

これなら夏の穴子の一本揚げも楽しみです


ただ、やっぱ重いです。

フライパンはこちら
https://ajinefrypan.com/23frypan.html






追伸


鰻ってニョロニョロでヌルヌルしてるので気持ち悪いって思う方いらっしゃると思います。


その気持ち悪い鰻は産卵時期になると川を下り、2000キロ以上離れたマリアナ海溝まで泳ぎます。

日があるうちは深い所、日が落ちると浅い所で食料を得ながら泳ぐらしいのです。


なんで、こんな風にするのかと言うと、”食べられないように”だそうです。



産卵も6月から7月の新月を挟んだ数日だけです。

これも卵が”食べられないように”です。




まるで学校帰りにジャイアンに怯える”のび太くん”みたいです。



でも、そののび太くんの様な鰻は、孵化から産卵まで6000キロも移動します。

川だって滝があっても100メートル位なら岩を伝って登るそうです。


あの気持ち悪いヌルヌルが水中以外でも呼吸を可能にし、しかも岩に引っ付き滝を登る働きをするらしいのです。


鰻って、実は想像を超えた能力があるんです。

「うなぎのぼり」って言葉の裏付けでしょうか。




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美味しい音で「あじね」って言います。

フライパンで焼いた、あのいい音で笑顔をたくさん作ります。





お料理や使う方の使いやすさにあわせて
板厚、深さを変えてフライパン作ってます。

「あじねフライパン」
https://ajinefrypan.com/


2023年02月23日